HUMAN MADE(ヒューマンメイド)とは?|NIGOが「過去のなかにある未来」を縫う、ヴィンテージ再発明のブランド

HUMAN MADE Brand

ヒューマンメイド(HUMAN MADE)は、NIGO®が2010年に立ち上げたブランドである。A BATHING APE(BAPE)を世界的存在へと育てた人物が、その次に選んだのは「速さ」でも「規模」でもなく、「手で作られたものとしての温度」だった。掲げるコンセプトは “The Future Is In The Past” 過去のなかにこそ未来がある、という静かな宣言である。

ハートのロゴ、レトロな動物たち、1950〜60年代のアメリカン・ワークウェアやスポーツウェアへの参照。HUMAN MADEのデザイン語彙は、表面的には「ノスタルジックでかわいらしい」と読まれがちだ。だがその根にあるのは、NIGOが何十年もかけて蓄積してきたヴィンテージへの愛着と、「良いものを長く着る」という、きわめて真っ当な価値観である。本稿では、ブランドの成り立ち、デザイン哲学、代表作とコラボレーション、そしてVAULTが見るその本質までを整理する。

項目内容
ブランド名HUMAN MADE(ヒューマンメイド)
設立2010年(ブランドとして発足。法人「HUMAN MADE株式会社」は2016年設立)
創業者NIGO®(本名:長尾智明/Tomoaki Nagao)
創業者の生まれ1970年、群馬県前橋市。文化服装学院で学ぶ
拠点東京(本社:東京都品川区)
コンセプトThe Future Is In The Past(過去のなかにある未来)
象徴的モチーフハート、ベア(ポーラーベア)、タイガー、ダックなどのキャラクターグラフィック
主なコラボadidas Originals、KAWS、Girls Don’t Cry(Verdy)など

創業者NIGOと、ブランドの起源

NIGO(本名・長尾智明)は1970年、群馬県前橋市に生まれた。文化服装学院でファッションを学び、1993年、盟友・高橋盾とともに原宿の裏通りにショップ「NOWHERE」を開く。同年、自身のブランドA BATHING APE(BAPE)を立ち上げた。BAPEのカモフラージュ柄、サルのアイコン、限定生産の手法は、後のストリートウェアにおける「ドロップカルチャー」の文法を決定づけ、NIGOは裏原宿ムーブメントの中心人物となった。

そのNIGOが2010年に始めたのがHUMAN MADEである。BAPEで「クールであること」を突き詰めた彼が、次に向かったのは「愛すべきもの」であること、そして「本物への執着」だった。なお、NIGOがBAPEから完全に離れたのは2013年とされる。巨大化したブランドのなかで希薄になりがちだった「厳選された、本物への愛」という精神を、HUMAN MADEでは規模を意図的に抑えることで取り戻そうとした。そう読むことができる。

NIGOのヴィンテージ収集への情熱は、HUMAN MADEのデザインの直接の源泉だ。1950〜60年代のアメリカの作業服、スポーツウェア、軍用品、そして日本の古着。何十年もかけて蓄えられたコレクションは、単なる商品ではなく「生きられた時間の堆積」として彼の美学を形づくってきた。HUMAN MADEは、その堆積を現代の服へと翻訳する試みである。


※NIGOの盟友・高橋盾が率いるUNDERCOVER。1993年、二人が原宿に共同で開いたショップ「NOWHERE」こそ、日本のストリートウェア史の原点である。あわせて読みたい。

HUMAN MADE in Brief(English Summary)

HUMAN MADE is a Japanese brand founded in 2010 by NIGO® (Tomoaki Nagao), the designer behind A BATHING APE. Built on the concept “The Future Is In The Past,” it draws on NIGO’s vast vintage collection of American workwear, sportswear, and militaria, reinterpreting them with Japanese craftsmanship and a warm, playful sensibility. Its visual identity centres on the heart logo and a cast of retro animal characters—bears, tigers, ducks—that trade streetwear’s usual aggression for affection. Through collaborations with adidas Originals, KAWS, and Verdy’s Girls Don’t Cry, the brand has earned a strong international following while keeping production deliberately measured.

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哲学とデザイン言語|「ヴィンテージの再発明」

HUMAN MADEの核にあるのは「ヴィンテージの再発明」という姿勢だ。それは古いものをそのまま真似ることではなく、ヴィンテージが持つ品質・温度・物語を、現代の技術と感性で更新することである。この姿勢は、おおよそ三つの次元に現れる。

第一に、素材である。 日本の老舗テキスタイル工場との協働、丁寧に仕上げられたインディゴデニム、長く着ることを前提とした縫製。狙いは「いま売れる服」ではなく、「数十年後も着られる服」だ。ヴィンテージ収集家としてのNIGOの眼は、素材が時間とともにどう変化するかを知っており、その変化が美しくなるように設計される。

第二に、グラフィック言語である。 ハートのロゴ、ベア(ポーラーベア)、タイガー、ダックといったキャラクターたち。これらはBAPEのアグレッシブな文法とは対照的に、温かみと素朴さをまとっている。BAPEが「クール」を追ったとすれば、HUMAN MADEは「愛すべきこと」を追う。ストリートウェアが帯びがちな威圧性をあえて外し、服への純粋な愛着を前面に出している。

第三に、限定性とアクセシビリティのバランスである。 HUMAN MADEはBAPEほどドロップ文化に特化しないが、生産量を抑えることで「特別さ」を保つ。同時に、価格帯は同規模のラグジュアリー・ストリートと比べると比較的手の届く設定で、コアなコレクターだけでなく、品質に敏感な広い層へ届けることを志向している。

コラボレーションの選び方も独特だ。adidas Originals、KAWS、Girls Don’t Cry(Verdy)。HUMAN MADEのコラボは、話題作りそのものよりも「同じ美学を共有する者同士の対話」という性格が強い。VerdyはのちにHUMAN MADEのクリエイティブ・パートナーにも迎えられている。

代表アイテムとシグネチャー

スウィングトップ/ヴァーシティ系のアウター。アメリカン・スポーツウェアやワークウェアを下敷きにしたブルゾンやスタジャンは、HUMAN MADEのレトロアメリカン語彙を最も素直に体現する。背面の大きなグラフィックや配色に、ヴィンテージへの愛が宿る。

タイガー/ベアのグラフィックアイテム。レトロな動物グラフィックをあしらったフリースやスウェットは、「かわいいストリートウェア」というブランドのトーンを最もよく表す。SNSや海外メディアでの露出を通じて、国際的な認知を押し上げた領域でもある。

S/Sシャツ(半袖シャツ)。50〜60年代のアメリカンスポーツウェアを参照した半袖シャツは、シーズンごとに異なるグラフィックで展開される。素材と仕立てへのこだわりが日常着の形に落とし込まれた、もっともデイリーユースに近いシリーズだ。

ハートロゴ全般。全製品に反復されるハートは、ブランドのアイデンティティの核である。これは恋愛のステートメントではなく、物への愛着、手仕事への敬意、ヴィンテージカルチャーへの愛。HUMAN MADEが大切にする価値観をひとつにまとめた記号として機能する。

コラボレーション。adidas Originalsとの「ADIMATIC HM」(ハート型のシルエットロゴを配したスニーカー)、KAWSとのアイテム群(KAWS定番のXアイをハートやベアに重ねたグラフィック)、そしてVerdyのGirls Don’t Cryとのコレクションなどが知られる。

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VAULTが見るHUMAN MADEの本質

HUMAN MADEを「かわいいキャラもののストリートブランド」と片づけるのは、たやすい。だがVAULTが見るその本質は、もっと頑固で、もっと真っ当だ。NIGOがこのブランドでやっているのは、「速く消費される服」が当たり前になった時代に、あえて逆を行くことである。

BAPEで彼は、限定性とアイコンによって「いま欲しい」という熱を生み出す術を極めた。HUMAN MADEで彼が掲げるのは、その対極にある時間軸だ。「いま欲しい」ではなく、「ずっと持っていたい」。ハートも、ベアも、タイガーも、表面のかわいらしさの裏で、「このひとつを長く大切にしてほしい」という同じことを言い続けている。

ヴィンテージが価値を持ち続けるのは、それが時代に媚びなかったからだ。HUMAN MADEもまた、数十年後のヴィンテージになるべく作られている。”The Future Is In The Past” 過去への眼差しが、もっとも信頼できる未来の作り方になりうる。それを静かに証明し続けているブランドである。

よくある質問(FAQ)

Q1. HUMAN MADEは誰が作ったブランドですか?
A BATHING APE(BAPE)の創業者として知られるNIGO®(本名・長尾智明)が、2010年に立ち上げました。NIGOは群馬県前橋市出身、文化服装学院で学んだデザイナーです。

Q2. ブランドのコンセプトは何ですか?
“The Future Is In The Past”(過去のなかにある未来)です。NIGOが長年収集してきたヴィンテージのワークウェアやスポーツウェアを下敷きに、その品質と物語を現代の技術で「再発明」することを軸にしています。

Q3. 代表的なモチーフやアイコンは?
ハートのロゴが最も象徴的で、ほかにベア(ポーラーベア)、タイガー、ダックといったレトロな動物キャラクターが知られます。BAPEのアグレッシブさとは対照的な、温かく親しみやすいトーンが特徴です。

Q4. 主なコラボレーションは?
adidas Originals、KAWS、そしてVerdyが手がけるGirls Don’t Cry(GDC)などが代表的です。いずれも「同じ美学を共有する相手との対話」という性格が強く、単なる話題作りに留まらないのがHUMAN MADEらしさです。

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