King Gnu(キングヌー)とは?
King Gnu(キングヌー)は、常田大希を中心とした東京の4人組バンドである。R&B、ソウル、ネオ・クラシカル、ジャズ、ロック、エレクトロニカ。本来であれば交わらないはずの音楽が、一つの楽曲のなかで静かに同居する。その混成こそがKing Gnuの核であり、知的で野心的な実験と、お茶の間に届く商業的成功とを、稀有なバランスで両立させてきた。
メンバーは、バンドを主宰しほぼ全曲を手がける常田大希(ギター/ボーカル)、もう一人のフロントマンである井口理(ボーカル/キーボード)、低重心のグルーヴを支える新井和輝(ベース)、生ドラムとサンプラーを同時に操る勢喜遊(ドラム/サンプラー)の4人。クラシックの専門教育を受けた音楽家と、ロック/ビートの感覚を持つプレイヤーが同居する。この編成が、ジャンルに収まらないサウンドの源泉である。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| バンド名 | King Gnu(キングヌー) |
| 結成 | 前身「Srv.Vinci(サーヴァ・ヴィンチ)」を経て、2017年に「King Gnu」へ改名 |
| メジャーデビュー | 2019年1月、アルバム『Sympa(サンパ)』 |
| メンバー | 常田大希(Gt/Vo・主宰)、井口理(Vo/Key)、新井和輝(Ba)、勢喜遊(Dr/Sampler) |
| レーベル | アリオラジャパン(ソニー・ミュージックレーベルズ) |
| 関連プロジェクト | millennium parade(常田大希のプロジェクト)、PERIMETRON(クリエイティブチーム) |
King Gnu in Brief(English Summary)
King Gnu is a four-piece Japanese band led by composer and guitarist-vocalist Daiki Tsuneta, who studied at the Tokyo University of the Arts before turning to rock. Alongside Tsuneta sit vocalist-keyboardist Satoru Iguchi, bassist Kazuki Arai, and drummer Yu Seki — a line-up that fuses classical training with the instincts of a rock band. The group grew out of Tsuneta’s earlier project Srv.Vinci, adopting the name King Gnu in 2017 and making their major-label debut with the album Sympa in January 2019. Since then they have moved freely between chart-topping ballads such as “Hakujitsu” and aggressive anime themes like “SPECIALZ” for Jujutsu Kaisen. Tsuneta’s parallel project millennium parade pushes the same restless intelligence into more experimental territory.

出自と背景
King Gnuの源流は、常田大希が率いていた前身バンド「Srv.Vinci(サーヴァ・ヴィンチ)」にある。常田は1992年長野県生まれ。幼少からチェロを学び、東京藝術大学で学んだクラシックの素養を持ちながら、より社会と地続きの音楽へと舵を切った人物である。Srv.Vinciとしての活動を経て現在の4人体制が固まり、2017年にバンド名を「King Gnu」へと改めた。
2019年1月、アルバム『Sympa』でメジャーデビュー。同年に発表した「白日」は、精緻なポリフォニーと感情の直接性を同居させ、世代を超えた多くのリスナーを獲得した。翌2020年1月には「白日」「飛行艇」を擁するアルバム『CEREMONY』を発表し、一躍シーンの中心へと躍り出る。
常田大希のもう一つの顔が、彼の別プロジェクト millennium parade である。King Gnuがポップスの最前線なら、そちらはより実験的で越境的な「もう一つの常田」だといえる。
美学と哲学
King Gnuの音楽美学の根幹は「共存」にある。相反するものを排除せず、緊張関係を保ったまま統合する。これが彼らの一貫した態度である。
とりわけ重要なのが声域の対比だ。常田大希の低く太い声と、井口理の透明なハイトーンが、交互に、あるいは同時に立ち上がることで、楽曲は複数の声による対話として機能する。歌詞においても、漢語と和語の混交、具体的な情景描写と抽象的な思索の並置が見られ、日本語そのものの豊かさが楽器のように扱われる。
さらに、常田が率いるクリエイティブチーム「PERIMETRON」によるMV・アートワーク制作は、King Gnuが音楽とビジュアルの総合的な体験として設計されていることを示している。
メンバー
| 名前 | 担当 | 特徴 |
|---|---|---|
| 常田大希(つねた だいき) | ギター/ボーカル | バンドの主宰でありコンポーザー。ほぼ全曲の作曲・編曲・プロデュースを手がける。東京藝術大学で学んだクラシックの素養と、ヒップホップやロックの感覚を一身に束ねる。別プロジェクトmillennium parade、クリエイティブチームPERIMETRONも主宰する |
| 井口理(いぐち さとる) | ボーカル/キーボード | もう一人のフロントマン。透明感のあるハイトーンで、常田の低く太い声と対をなす。バンドの「光」を担う声であり、俳優・ソロ活動でも知られる |
| 新井和輝(あらい かずき) | ベース | ジャズ的な素養を持つ技巧派。King Gnu特有の重心の低いグルーヴを支える |
| 勢喜遊(せき ゆう) | ドラム/サンプラー | 生ドラムとサンプラーを同時に操り、バンドにビートミュージック的な質感を持ち込む。King Gnuの「異物感」の多くは彼のリズムから生まれる |
ボーカルが二人いて、低い声(常田)と高い声(井口)が交差する。この構造こそが、King Gnuを聴いてすぐにそれと分かる最大の理由である。
ディスコグラフィー・代表曲
King Gnuの曲の多くは、ドラマ・映画・アニメのタイアップとともに世に出た。代表曲をタイアップとあわせて読むと、彼らの振れ幅がよくわかる。
| 曲名 | 年 | タイアップ・備考 |
|---|---|---|
| Tokyo Rendez-Vous | 2017 | 初期の代表曲。フランス語タイトルとネオ・ソウルのグルーヴが、彼らの出発点を物語る |
| 白日(はくじつ) | 2019 | 日本テレビ系土曜ドラマ『イノセンス 冤罪弁護士』主題歌。ストリーミングで記録的な再生数を叩き出し、バンドをお茶の間まで届けた決定打 |
| 飛行艇(ひこうてい) | 2019 | スケール感のあるロックナンバー。ライブのアンセムとして広く親しまれている |
| 三文小説(さんもんしょうせつ) | 2020 | 昭和歌謡へのオマージュと現代的なプロダクションを融合させたバラード |
| 一途(いちず) | 2021 | 映画『劇場版 呪術廻戦 0』主題歌 |
| 逆夢(さかゆめ) | 2021 | 映画『劇場版 呪術廻戦 0』エンディングテーマ |
| SPECIALZ | 2023 | TVアニメ『呪術廻戦』第2期「渋谷事変」オープニングテーマ。攻撃的でラウドなもう一つの顔を世界に示した |
アルバム:メジャーデビュー作『Sympa』(2019)、続く『CEREMONY』(2020、「白日」「飛行艇」収録)、そして約4年ぶりの『THE GREATEST UNKNOWN』(2023)へと続く。近年はドーム規模のツアーを成功させ、King Gnuはアリーナ/ドーム規模の存在になった。
VAULTが見るKing Gnuの本質
King Gnuの本質は、「両立しないはずのものを、無理に溶かし合わせない」という態度にある。
多くのバンドは、異質な要素を一つの色に混ぜて「自分たちの音」を作る。King Gnuはそうしない。常田の低い声と井口の高い声は、最後まで溶け合わず、対のまま並んで響く。藝大で培われたクラシックの厳密さと、サンプラーが刻むビートの粗さも、片方が片方を飲み込むことはない。彼らの音楽が知的でありながら体に届くのは、この「混ぜずに同居させる」感覚ゆえである。
だからこそKing Gnuは、ドラマの主題歌のような端正なバラードと、アニメ『呪術廻戦』のラウドな主題歌とを、同じ顔で歌える。振れ幅が大きいのではなく、最初から複数の自分を抱えているのだ。常田が別プロジェクトmillennium paradeを並走させているのも、その延長線上にある。King Gnuとは、一つの群れのなかに複数の声を飼い続けることを選んだバンドなのである。
はじめて聴くなら
King Gnuは「静」と「動」の振れ幅が大きいバンドなので、入口によって印象が大きく変わる。
- まず1曲なら「白日」。バンドの代名詞であり、常田の低い声と井口の高い声が交差する構造が、King Gnuのすべてを最短で伝える。
- 激しい一面から入るなら「SPECIALZ」。アニメ『呪術廻戦』で彼らを知った人はここから。ラウドで攻撃的なもう一つの顔。
- アルバムなら『CEREMONY』(2020)。「白日」「飛行艇」を含み、初期の代表曲がまとまっている。バンドの「広さ」を一枚で体感したいなら『THE GREATEST UNKNOWN』(2023)へ。
- 常田大希という作家性をもっと知りたくなったら、彼の別プロジェクト millennium parade へ進むとよい。King Gnuがポップスの最前線なら、そちらはより実験的な「もう一つの常田」である。
よくある質問(FAQ)
Q. 「King Gnu」はなんと読む?名前の由来は?
「キングヌー」と読む。「ヌー(Gnu)」は、少しずつ合流して巨大な群れになる習性を持つ動物。自分たちも老若男女を巻き込んで大きな群れになりたい、という思いから名付けられた。
Q. メンバーは何人?それぞれの担当は?
4人組。常田大希(ギター・ボーカル/主宰)、井口理(ボーカル・キーボード)、新井和輝(ベース)、勢喜遊(ドラム・サンプラー)。ボーカルが二人いて、低い声(常田)と高い声(井口)が交差するのが大きな特徴である。
Q. millennium paradeとKing Gnuの関係は?
どちらも常田大希が中心。King Gnuがバンドとしてのポップスの表現なら、millennium paradeは常田が主宰する別プロジェクトで、より実験的・越境的な音楽を展開する。常田はさらにクリエイティブチームPERIMETRONも率い、ミュージックビデオやアートワークまで自分たちの世界観を統括している。


